タンザニア徒然草

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zoom RSS さようならは言いたくないのに グビさんのこと

<<   作成日時 : 2013/09/02 18:38   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 13

 8月26日の明け方にグビさんは逝ってしまった。その前日に危篤の連絡を受けて夫とともに病院に駆け付けた。なんだか小さくなってしまったグビさんが白いシーツにくるまって、懸命に息をつないでいた。意識はないようだといわれたけれど、返事がなくても呼びかければわかってくれるかもしれないと、名前を何度も呼んだんだ。だけど翌朝には訃報が届いた。享年53歳だった。

 夫はグビさんとダルエスサラーム大学の留学生時代からの古いつきあいだ。わたしが結婚前の1988年に単身で旅行に来たときに、夫の紹介でグビさんに知り合い、彼の故郷のキンゴルウィラ村に連れて行ってもらった。まだ若かったわたしたちは、村に行く前にモロゴロホテルのディスコに立ち寄ったけど(たぶんわたしが行きたがったのだろう)、グビさんの踊りがぎくしゃくしてて、お世辞にも上手とはいえなかったので、「タンザニア人でもダンスがうまくないひともいるのだ」と妙に安心したことを覚えている。

 ウルグル山に近いキンゴルウィラ村の光景はなんだか日本の田舎の景色にも似ていた。まだ電気の来ていなかったキンゴルウィラ村の空はとても広く、おおきな家族はもちろんのこと、小学校に訪問したり、生きている鶏をもらったり、サイザル畑を散歩したり、村でのグビさんの豊かなひととのつながりの中で、たのしい時間を過ごすことできた。

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2010年の断食月に自分の畑にたたずむグビさん


息子がまだ8カ月の赤ちゃんだった2000年の12月には、キンゴルウィラ村で行われたグビさんの結婚式にも参加した。グビさんの家で行われ、家の外では太鼓が鳴り響き、村人たちと一緒におどったのだった。息子はグビさんのお母さんに抱いていただいた。

 なで肩でいつもちょっと困ったような笑顔をしていた優しいグビさん。ポレポレ(ゆっくりゆっくり)という言葉がふさわしい、暖かな空気をもつ人だった。グビさんがその場にいると、それだけで空気が和んでしまうような。

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1988年キンゴルウィラ村のグビさん一家。向かって一番右がグビさん


 夫とアレックスさんとともにジャタツアーズを設立してからは、主に経理の仕事を受け持っていた。会社設立まえだったか、一度だけ夫とグビさんが大げんかしたことがあったけど、グビさんが声を荒げるのをきいたのは、後にも先にもあのときの一回だけだ。

 グビさんは、農村滞在のキンゴルウィラ村のホストとして200人以上の日本からのお客さんを受け入れてきました。 最近では、2010年の断食月のときにキンゴルウィラ村に休暇で戻っていたグビさんの家におじゃまして、しっかり断食月のごちそうをいただいてきたこともある。2011年8月には脳性まひ者の利光徹さんとその仲間たちがキンゴルウィラ村へ行ったときに、ホストをしてくれて、地域の障害者たちとの出会いも作ってくれた。

 このところ、ずっと体調が悪く、7月からは入退院を繰り返していた。足が痛かったり、胸に水がたまったりしていたそうだけど、検査をしても何が原因なのかはつかめなかいまま、症状が急に重くなっていったのだった。

 27日にキンゴルウィラ村で行われた葬儀には1,000人以上もの人々が参列した。グビさんが人々からどんなに慕われていたか。

 夫が「グビよりも年配の元気そうな人たちがたくさんいるなあ」としみじみと語っていた。

 仕事をリタイアしたあとは、キンゴルウィラ村の自分の畑のそばに家を建てて静かに暮らしたいなあと言っていたグビさん。とてもとても残念です。
 


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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
一度お世話になっただけですが、グビさんのことはすごく心に残っています。

見よう見まねの1日断食のあと、グビさんの家の前にあかりを灯し薄暗い中でした食事の美味しかったこと。
バナナビールを飲んでみたいというわたし達のために朝から案内してくれたこと。
いつも静かに微笑んでそこにいてくれたことが思い出されます。
私たちにはなんと心強かったことか。

とてもびっくりで残念なニュースでしたが、知ることができて良かったです。
遠い日本の空からグビさんの御冥福をお祈りします。

麻美さんも、ご主人もお身体に気をつけてくださいね。
piro
2013/09/03 08:05
とても、とてもビックリしました。
オフィスの皆様、辛く大変な日々かと思います。
Ngubiさんは私が初めてタンザニアを旅した時に特にお世話になりました。Ngubiさんのお人柄とキンゴルウィラ村、この出会いがあったから、何度も来てしまう国になったと感謝しています。
また村を訪ねたいです。
うた2
2013/09/03 08:33
piroさん、うた2さん

あたたかいメッセージをどうもありがとうございます。じんわりとした悲しみがつづいています。
そうであっても日常が続いていくのが人生で、それだからこそ次の一歩を踏み出せていけるのでしょうね。
そしてグビさんの思い出が彼と接した人びとの心に残り続ける限り、彼はそこでは生き続けているのだな、と思えるので、メッセージをいただけたのはとてもうれしかったです。ありがとうございます。

グビさんには4人の子どもがいて、一番上の女の子が大学生で、一番下の男の子はまだ4歳なのです。そのことが気がかりです。

asami
2013/09/03 18:27
長年の信頼できる知人を無くしたときは本当に辛いですね。面と向かって挨拶をしたことはなかったけれど、JATAツアーズのホームページでずっと知っていたので、とても残念です。
キンゴルウィラ村の便りから、誠実な人柄が伝わっててました。もっともっと伝え続けてほしかったです。
asamiさんご夫妻を始め、皆様がゆっくりと悲しみから回復されることを祈っています。
zoomie
2013/09/03 21:22
zoomieさん

どうもありがとうございます。キンゴルウィラ村の便りも読んでいてくださってありがとうございます。いつもだいたい同じような始まり方でしたよね。でもなんだか生真面目さの中にもじんわりとした村へのあたたかさが感じられた文章だったと思います。じっくり読んでくださってかさねがさね感謝です。
asami
2013/09/04 02:17
Nguviさんと直接お話しする機会を持てないままでしたが、娘さんが大学生で私と同年代と思うと、社会で活躍していく姿や花嫁姿を父親に見せられないのは、どんな気持ちだろうと想像できないでいます。1,000人もの方々に思われて旅立ってしまったNguviさんに

最近近かれ遠かれ自分の周りで人の死が多く、改めてぼうっと物思いにふけてしまいます。

Nguviさんを思いながら、キンゴラウィル村便りをこれから読み返してみようと思っています。
Karanga
2013/09/04 02:46
キンゴロウィラ村では一日断食体験、学校訪問をはじめ、貴重な農村体験をさせていただきました。

南部の高原地帯へ除虫菊探しの旅に同行していただき、室温10度の中でホテルで冷水シャワーを浴び2人して大騒ぎをし、また食事で共にお腹をこわし帰路の長距離バス旅の苦痛をわかちあいました。

いつも冷静で、交渉事、案内、とても凛々しかった。

ご冥福をお祈りします。
トキ男
2013/09/04 17:34
ご無沙汰しております。

ボクは、インターンシップを通してキンゴルウィラ村にてグビさんのお世話になりました。慣れない添乗のお仕事を温かくサポートしていただいたことを思い出します。ご冥福をお祈りしております。
Yoshiki
2013/09/08 02:27
Karangaさん

Ngubi(←tahajia sahihi:カタカナでしか記してなかったものね、ごめんね)さんを悼む言葉をありがとうございます。タンザニアにいると、日本にいるより「死」というものに向き合う機会が多くなってしまう気がして、それも残念です。Karangaさんのような若い方には元気いっぱいで活躍して欲しいですが、そういったことを若いときに感じられるというのも、活躍のバネのひとつになるのかもしれませんね。

asami
2013/09/08 18:10
トキ男さん

涙の出そうな温かいコメント、ありがとうございます。(死後の世界をわたしは信じてないんですが)ムスリムなので、天国にいるに違いないグビさんに届いたら嬉しく思うことでしょう。グビさんの笑顔が浮かんできます。
asami
2013/09/08 18:17
Yoshikiさん

接した時間の長さや短さはあまり関係ないのかもしれませんね。メッセージをくださってどうもありがとうございます。天国に届きますように。
タンザニアでの体験がYoshikiさんにとってすてきな糧になりますよう。
asami
2013/09/08 18:22
ご無沙汰しております。久しぶりにJATAのHPを拝見し、思わぬ訃報に大変驚いております。私もJATAでインターンをさせて頂いた際に、学生さんの引率でキンゴルウィラ村でお世話になりました。引率として行く、仕事として行くことにプレッシャーと不安が大きく、オフィスでグビさんにキンゴルウィラについていろんな話をお聞きしたことを今も覚えています。村のこと、人々のこと、気候や生活のこと、私が事前に知っておきたいことをすべて教えてくれました。グビさんと一緒に村に行けたらな〜と思いました!とても安心感を与えてくれる、笑顔の可愛いおじさんでした。グビさんの訃報はとても悲しく、一緒にお仕事されていたJATAの皆さんはより深い悲しみに包まれておられると思います。でも、葬儀に1000人以上もの人が駆け付けたということに、グビさんの生前のお人柄と信頼感の厚さにとても圧巻しています。天国でもきっと持ち前の笑顔と人柄でたくさんの方と楽しくされているように感じられますね。
改めてまして、ご冥福をお祈りします。
Mibomber
2013/09/09 19:49
Mibomberさん

思い出深いメッセージをありがとうございます。多くのみなさんの心に温かな存在として残っていることを知るにつけ、悲しいなかにも気持がほんわりしてきます。Mibomberさんの心にも『笑顔の可愛いおじさん』が残っているのですね。わたしも笑顔のグビさんが浮かんできます。

asami
2013/09/10 13:51

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